海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2008.11.21 2008:11:21:17:20:42

内閣府に言ってきました。

 まずはご報告から。新刊、『イノセントゲリラの祝祭』はおかげさまで発売2週間で三刷を数え、16万部を突破しました。これはオフレコですが、何でも、映画・ドラマも大当たりで無敵状態の、東野圭吾さんを売り上げでぶっこ抜いたらしい。これは、医療現場の問題に対する、現在の市民の人たちの関心の高さを物語っていると思います。そしておかげさまで評判も上々で、みなさん楽しんでいただいているようです。中身が専門的な議論で少し難しいかな、と危惧はしていたのですが、実に多くの読者が的確に問題点を理解して下さったことに、感動しています。ああ、よかった。もちろん、中には「あれは小説じゃない」などとおっしゃる人たちもいらっしゃるようですが、そういう方には胸を張って、「そういう、ジャンルを限定したがる人たちが、そのジャンルを衰退させるんですよ」と言い返したいと思います。そういう人たちは、結局、自分が好きなタイプのものだけが、小説でありミステリーだと主張しているだけなんだ、と最近ようやく悟ることができました。
 私は、私の小説を楽しんで下さる読者の人たちのために書き続けようと思います。そしてそういう最後のひとりの読者は自分自身なのでしょう、きっと。

 そういえば、テレビドラマの方もなかなか好評のようで健闘しているようです。そして、とうとうドラマは原作者未知の領域に入りました。これからはたぶん、私も毎週どきどきしながら見続けることでしょう。できれば、一度撮影現場を見学してみたいなあ、と思っていますが、出演依頼がされたまま宙に浮いている状態では、難しいのでしょうね、きっと。プロデューサーさん、出演したいだなんてわがままはいいませんから、せめて見学だけでも一度させてくださいね(笑)。でないと、史上最弱のミステリードラマ原作者という、自虐的に言っている肩書きが本当になってしまいそう......(泣)。おもしろいドラマなのに......。

 意志を伝えることはとても難しくて、特に仲立ちの人が増えるとその困難さはいっそう増します。これから映像化で大きなニュースがあるのですが(まだ言えない)、どうやら私は、そのプロジェクトに「忙しいので、協力はご遠慮申し上げたい」と言ったことになっているらしい。はっきりいって、そんなことはひとことも言っていないのに(泣)。そもそも、そんな意思確認もされていないのに。プロデューサーと偶然、直接お目にかかる機会があって、誤解が解けたのですが、もしそんな機会がなかったらと思うと......。
 やはりビジネスは誠実さが一番大切で、それを失うと、同時に信頼も失いかねません。自戒を込めて、ここに書いておきましょう。これはエンタメの世界のみならず、実はアカデミズムの世界でもまったく同じこと。その、アカデミズムの信頼を崩壊させるような、えらい目にあっている最中なのですが、その話はまた後日。
 10月24日付けで、内閣官房から講演依頼を受けまして、11月19日に内閣府に言ってきました。(誤植ではありません。本当に、「言って」きたものですから。)
 「死因究明に関する検討会」で、参加者は関係省庁(内閣官房、警察庁、法務省、厚生労働省、文部科学省、海上保安庁)の課長級からなる検討会です。おお、これって、イノセントゲリラで予告された、彦根がいずれどこかで出席することになる会議なのでは、とびっくりしました。こういう会議にのこのこ出かけていくもんだから、私の書く作品はフィクションじゃねえ、なんて故無き誹謗中傷(笑)を受けてしまうんでしょうね。でも、依頼を受けたのは、イノセントゲリラを完全脱稿した後ですから、ノンフィクションではありません。ああ、でも私はたとえネットでそんな風に書かれても、名誉毀損で訴えたりしませんから、ご心配なく(笑)。
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