海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2008.01.07 2008:01:07:16:23:52

バチスタ映画・クランクアップ記者会見 メン・イン・ブラックの巻

 昨年十二月初旬のある日、宝島ワンダーネット(宝島社とは別会社)の社長さんから電話がかかってきました。
「以前からお願いしていましたが、クランクアップ記者会見にはご出席、お願いしますね」
「ええ、年休は取ってあります。わざわざ気をつかっていただいて、ありがとうございます」
「あと、服装ですが、コンセプトはメン・イン・ブラックでいこう、ということになっていますので、よろしく」
「メン・イン・ブラック、ですか?」
 受話器の向こう側で、宝島ワンダーネットの社長さんがうなずいているのが見えるようです。確か、黒服のエイリアン退治係のお話だったな、と思い出します。
「そうです。映画の中のグロリアス・セブン(栄光の七人)がメン・イン・ブラックで統一してスポットライトの中を歩く。かっこいいでしょう」
「ということは、黒い系統の服を着ろ、と」
「そうです」
「あの、黒系統は喪服くらいしか持っていないんですけど、さすがにまずい、ですよね?」
「そりゃそうでしょう。縁起でもない」
 言われてみれば確かに縁起でもありません。言ってしまってから、白ネクタイなら結婚式にも着られる式服というもので喪服ではない、と気がついたのですが、忌み言葉をすでに口にしてしまい、もはや取り返しがつかなくなってしまった私は、仕方なく背広を一着購入しようと決意しました。それでも他のみなさんは、名を成した女優さん、俳優さんたちですから、その人たちと並ぶなんて、と想像すると、お目にかかれるのは光栄だけど、少々げんなりする部分もあったりするのでした。何でブランドバッグの隣に一目でわかるバッタ物を並べたがるかなあ、などと思ったりもしたものでした。
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