海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2007.08.20 2007:08:20:15:51:37

気がついたら二ヶ月が過ぎ......

 7月、8月と、多忙でした。この多忙状態はまだしばらく続きます。
 ここで皆さんに悲しいご報告です。厚生労働省から打診されていた「エーアイ勉強会」ですが、結局ドタキャンされてしまいました(泣)。
 氷姫が交渉担当係でした。彼女の名誉のため申し上げますが、彼女は窓口担当にすぎなくて、決定権はないのです。従ってその右往左往ぶりは、その上の室長や局長の判断だということは、皆さんにご理解いただかないといけません。その上で厚生労働省のお役人の上層部がいかに自分たちがやりたくない仕事をスルーするか、という典型例だと思われますので、ここにその顛末を記しましょう。
 7月のある日、氷姫からメールをもらいました。それは近日中に厚生労働省でエーアイについてお聞きしたいので、ご足労いただけないか、というものでした。私は即座に了承し、候補日をいくつかお知らせしました。そして予定日が決定しました。その後、交通費も謝礼も出せませんが、という丁寧なお断りをちょうだいしたので、そんなことは全然構いません、とお返事しました。(だって、行政に協力するのは国民の義務でしょう?)
 数日して、予定時間が大幅に遅れてもいいでしょうか、という変更願いのメールが来ました。高級官僚の皆さんは御多忙ですからヤムを得ません。私はそれも快諾し、何人くらいの人が聞きに来るのか、どういう人が聞きに来る予定なのか、できれば出席者の名簿のようなものをいただければありがたい、と返事しました。
 その翌日でした。突然氷姫から「私が施設見学に伺った方がよろしいかと思うのでお願いできないか」という打診がありました。私は「エーアイとは死亡時画像診断なので、普段は普通の画像診断室でしかないので、見学しても意味ないです」と答えたのですが、氷姫はなぜか施設見学に固執し続けました。人がお亡くなりにならなければ、エーアイシステムをお見せできないというと、氷姫はぽろりと理由を言いました。何と、上層部はもはやエーアイに関する勉強会をやる必要は無いだろう、という判断になったというのです。結局最後には今回の勉強会及び施設見学は中止ということで、ということになりました。これがドタキャンの真相です。
 繰り返しますが、これは厚生労働省の医療安全課としての判断で、氷姫の個人的な判断ではありません。その時の話として、千葉大の○○先生からすでにエーアイの話は伺っているので、という言葉がでました。千葉大は2007年8月、世界初のエーアイセンターを立ち上げたくらいの先進的施設ですから(ホームページ参照)、そこの先生のお話を聞いた後では、私の話など聞かなくても、エーアイが医療事故調査委員会にどのくらい意義があるか、ということを十二分に理解したのだろう、ということかと、当方も納得した次第です。
 ところが驚いたことに、現在、厚生労働省が月二回のハイペースで行っている医療関連死問題の検討会では、死亡時医学検索の制度の整備の話なんかはひとことも触れられません。エーアイのことを本当に厚生労働省が理解しているのなら、間違いなく制度に導入するはずなのに。
 それどころか、委員の先生が重点検討課題のひとつ、監察医制度(死亡時医学検索の確定に役立つ)について議論をしようとすると、座長と室長は「監察医制度の問題は難しいですから」とすぐに棚上げにしてしまうのです。過去三回ほど別々の委員から議題にあげられましたが、その都度議論せず棚上げしてしまう座長は、法律の教授です。
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