海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2007.06.11 2007:06:11:12:23:03

「第三者機関」という組織

 今、社会保険庁が年金問題で、国会で「詐欺団体」呼ばわりされています。「国家による詐欺」という言葉が、国会で連呼されています。社会保険庁はいわずとしれた厚生労働省の関連省庁、その体質は瓜二つ。その厚労省が主体で創設されようとしている死因究明制度もよく似た仕組みです。年金問題解決のために大急ぎで作られようとしているのが、「第三者機関」。医療死事故調査委員会の母体も、「中立的第三者機関」。翻訳すると「外部組織を作り、官僚の責任を逃れる」ための「官僚の、官僚による、官僚のための組織」です。年金の支払い記録がなくても認めるかどうか(社会保険庁の職員の業務怠慢が引き起こした事態ですから、過去の責任者が賠償するのは当然の法理なのですが)が、年金問題のポイントであるのと同様、医療関連死問題のチェックポイントは、「死亡時医学検索」である「剖検」と「エーアイ」に費用拠出を決定するかどうか、そして拠出は、警察官や消防士の費用と同等の体系による国家拠出にする必要がある、ということです。そもそも昨年夏、警察庁が有用性を認め国家予算をつけたエーアイに対し、厚生労働省が沈黙を守っているのは、エーアイが普遍化したときに、費用拠出を現場に押しつけて知らん顔をするための布石です。この費用拠出を策定しない限り、構造設計書を策定しないマンションを作る愚と同じことになります。見せかけだけ豪奢な仕組みが仮にできてもおそらくきちんと稼働しません。このままでは、医療関連死に関しても「詐欺」呼ばわりされる仕組みが作られてしまいます。要注意。何しろ、「社会保険庁」と「厚生労働省」は血肉を分けた兄弟なんですから。
 さて、北海道新聞に依頼を受けた記事を、許可をいただき転載いたします。
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