海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

『海堂ニュース』最新ネタ満載!

2018.04.27 2018:04:27:20:37:46

もう何が何やら、ひっちゃかめっちゃかな怒濤の春の嵐

  
 それにしても日本は、お偉いさんが自分の言葉に責任を持たない、下品な国になりました。

 厚生労働省のデータ改竄、財務省の決裁文書改竄、防衛省の自衛隊日報の隠蔽など出るわ出るわ。でも根っこは同じ、政権に都合の悪い情報を隠したものばかり。そうしたことが見抜かれていないと高をくくっている政府関係者には本当に腹が立ちます。

 そうなってしまったのは、官邸が官僚の人事権を握ったせいだといわれています。官僚が「政府がやりたいことにマイナスになることを隠せと強要されている」と考えると、もろもろの辻褄が合うのです。

 麻生財務大臣の傲慢な記者会見は見ていて不快だし、そう感じる市民も相当いると思います。安倍首相はそんな麻生大臣を信頼している。つまり麻生大臣の物言いは安倍首相の内面をそのものだと言えます。要するに安倍内閣は国民を舐めているのです。

 そしてバカにされている国民が、バカにされていることに気づかずに、市民の不利益になる政策に邁進している政権を、無批判に支持している。

 安倍内閣は若者の支持が高い、とも聞きます。東大生の支持が高いという報道もありました。

 安倍政権で景気が悪く見えないのは未来のカネを先食いしているからです。百万円借金して景気よく焼き肉を奢るおじさんは若者の人気者ですが、実態は若者の飲み食いの代金三万円を焼き肉屋に払い、残り九十七万を自分たちで山分けしている年寄りです。そのカネは、奢ってもらった若者の未来の儲けを前借りしているだけ。実にバカげた話です。

 佐川元国税庁長官が国会の証人喚問で、疑惑に対し何も答えなかったことを、政権内部では「よく頑張った」と評価しているのだとか。でも彼らは重大な観点を見落としている。

 佐川氏と彼を支持した政権担当者は、国民に対し徹底的に不誠実に振る舞ったのです。おまけに高級官僚として「刑事訴追の恐れがある行為に関与していた」ことを認めてしまっている。そんな底の浅い人物を評価している政府って一体......。

 茶番が済むと検察が不起訴方針を打ち出すというバルーン報道がありました。でもこの報道通りになったとしたら、それは検察の自殺行為です。本人が刑事訴追の恐れがある、と怯えるような案件を起訴すらできなければ、検察の無能さを露呈することになる。

 時の大統領を逮捕・起訴した隣国、韓国の検察に遠く及ばないのが残念です。

 反対に森友学園の籠池夫妻への処分は重すぎる。2017年7月31日補助金詐欺疑いで逮捕、拘留され九ヵ月も大阪拘置所に拘留され続けている。特捜部のガサ入れが済めば証拠隠滅の恐れも逃亡の恐れもないなんて素人にもわかる。それを拘留し続けるのは人権侵害です。国有地の価格で不当な値引きは容認できませんが、払い下げてもらった方は監獄にぶち込み、払い下げた方は起訴もしないというのは刑罰適用のバランスがあまりにも不公平すぎる。取りあえず現在、籠池夫妻の保釈に反対する市民はいないと思います。そうしないのはつまり、これが国策捜査というヤツで、国策捜査にするということはそこに政権にとって都合の悪い暗部が含まれているということを白状してしまっているようなものです。

 財務事務次官のセクハラ事件の対応も酷いものです。財務省の呼びかけに応じて、会社を通じ本人が名乗り出ても、福田次官の再聴取もせず辞任を閣議で認めてしまう。おまけに安倍首相の右腕、麻生副首相は「ハメられたという話もある」などと財務省の公式記者会見の場で堂々と開陳する。すかさずテレビ朝日のワイドショーでは件の女性記者が「セクハラにあったので一年以上会うのを避けていたら、財務省の森友問題でNHKがすっぱ抜き報道をした夜、福田財務次官から直接連絡があったので会うことになった」と真相を報道をする。一年ぶりに「自ら呼び出した」のであれば、「ハメられた」という言い訳は成立しません。

 そんな福田元財務事務次官を擁護している麻生副首相を重用しているのはモラル・デストロイヤー安倍首相の面目躍如といったところでしょうか。

 メディアは今、国会が空転すると一日3億の費用がムダに使われる、と喧伝しています。でもそれは、安倍首相が野党の追及に対し誠実に回答すれば起こらずに済む、という指摘が抜け落ちている。野党の要望は、国民が望む説明責任を果たせ、ということであり、それに関しては国民の要望を代弁しています。これに答えずして数にモノを言わせた国会運営をするなんて横暴の極みです。こういう手法はやがて、ファシズムへと移行します。

 この件でびっくりしたのは、自民党の国会対策委員長が、野党が不信任案を提出したら総選挙もあり得る、と示唆したことです。半年前に総選挙をしたばかりだし、総選挙に掛かる費用は660億円と言われています。そんな巨額の費用を、政権継続させるためだけに国民に強要するなんて、亡国の宰相と呼ばれても仕方がない。そもそも前回は、やはり森友・加計疑惑で説明ができず政権が揺らいだのを北朝鮮の脅威にすり替えて国難突破選挙と銘打ったのに半年もたたないうちに、朝鮮の緊張は緩和の方向に向かっていて、安倍首相の外交方針は、そうした国際政治の流れに逆行さえしている。安倍首相の先読みは大失敗だったわけで、そんな首相に大量得票を与えた国民も愚鈍だ、ということになります。またあの時問題になった森友・加計学園問題では、財務省や関連官庁が公文書偽造までして疑惑を「隠蔽」していたということがわかってきましたのです。今回、そうした事実が明らかになったからには前回選挙の国民の付託は成立しなくなる。だから安倍首相には疑惑に対する説明責任は、前回の選挙前より遙かに大きくなっている。けれどもその説明責任を果たそうとはしません。お隣の韓国であれば、検察が逮捕しているような案件です。

 解散の可能性は国対委員長が口走ったことで安倍総理は考えていない、と弁解しています。ならば国対委員長は重大な越権発言をしたわけですから、安倍首相は厳正に処分すべきです。処分しなければ安倍首相はその発言を容認しているという証拠になります。

 そんな風に現在の日本は公私のけじめがつかないお坊ちゃま内閣に率いられていて、わがまま坊やに意見できる大人は誰もいない、というとんでもない状態になっているわけです。

 安倍内閣は女性蔑視的で弱者に威圧的、ウソをついて誤魔化すことを官僚に強要し、それができるモラルの低い官僚を重要な地位に引き上げた結果、現在の惨状へと日本を導いてしまった。そんな国家元首に今、送るべき言葉は「類は友を呼ぶ」でしょう。

 安倍内閣の手法は米国べったりのかつての中南米の独裁政権そっくりです。初めは高い人気で登場し、市民に思いやりのない政治をして人心が離れ、最後は強引に押さえ込むため弾圧を始める。それはポプリスモからファシズムへという、かつて歩んだ道なのです。

 言葉尻を捉え混ぜ返すことはお上手だけど、誠意は微塵も感じられない。言葉を信用できない国家元首を抱いた国民は不幸なものです。

 米国の経済封鎖に遭い極貧生活を強いられながらも、国家元首フィデル・カストロの言葉を信じたキューバ国民とはまったく逆の気持ちを、今の日本国民は感じています。

 では、そんな私たちは一体どうすればいいのか。単純なことですが、不愉快に感じた市民ひとりひとりが声を上げるしかないのだと思います。

 日本国民は素晴らしい国民だ、ということを私は確信しているのです。


 久々の海堂ニュースを書き終え推敲している最中に、人気グループTOKIOのメンバーが女子高生に対する強制わいせつで書類送検されたという事件報道が飛び込んできてワイドショーは大騒ぎです。事件の中身についてはあえて言及しません。でも私にはこの事件報道がワイドショーの大部分を占めたことで飛んだ報道の方が気になります。野党審議拒否の中での国会審議強行、解散総選挙というブラフ、元財務事務次官のセクハラ辞任、それに伴う麻生財務大臣の諸々の不適切発言、南北朝鮮会談による、これまでの安倍外交の頓挫、佐川元国税庁長官の地検による事情聴取と起訴見送り方針のバルーン報道等、です。

 二月に起こった事件がこのタイミングで書類送検される。佐川氏への市民団体の告発を受理するのを三ヶ月以上も放置することも、わいせつ事件を書類送検するタイミングも、籠池氏の拘置所長期間留置も、検察は恣意的にできるのです。

 安倍信者の若手評論家がワイドショーでぽろりと口にした「政権にとってラッキー」という言葉は語るに落ちたということで、そこに真実が隠されていたりもするのでしょう。

 四月後半、三つのスキャンダルが噴出しました。米山新潟県知事の援助交際問題とTOKIOの山口氏の強制わいせつ事件、そして福田元財務事務次官のセクハラ疑惑です。この三者の対応はまったく違います。前二者は公衆の面前で釈明会見し、事実を認めた上で謝罪し、知事を辞任したり無期限活動停止を発表しています。

 比較すると福田元財務次官の対応はきわめて悪質です。セクハラは認めず、公人のクセに釈明会見もせず辞任する。これでは処分を避け退職金を保全したいからだと思われても仕方がない。彼自身は疑惑を否認し上役も彼の言い分を信頼しているようですが、これではセクハラの被害者を更に傷つけることになってしまっていることに財務省も内閣も気がついていない。

 財務省の女性官僚や、安倍内閣の女性閣僚の率直な言葉を聞いてみたいものです。彼女たちが安倍首相や麻生副首相に噛みつき声を上げないと「すべての女性が輝く社会づくり」なんて安倍内閣のキャッチコピーは、有名無実どころか真逆で「すべての女性を抑圧する社会づくり」になってしまう。調べてみたら安倍内閣の女性閣僚はたった二人で野田聖子総務大臣と、上川陽子法務大臣ですが、なかなか重要ポジションです。お二人の健闘を期待します。

 国民の大多数は福田氏の言動をまったく信用していません。きちんと説明しないんだもの。泥棒するような悪党はモラルがないので、確たる証拠をつきつけられなければシラを切り通します。充分調査せず彼の言い分を鵜呑みにし、上役が「ハメられたという話もある」などと擁護すれば、調子に乗って強弁し続けるわけです。こうして福田氏の面子を守った財務省と安倍内閣は、国民から白眼視される。どう考えても損な取引だと思うのですが。

 そもそも安倍内閣を支えた財務省のツートップが不祥事で辞任するなんて異常自体です。しかも佐川元国税庁長官は、国税長官に就任後一度も公式に記者会見をしなかったという、前代未聞の対応をして、最後は処分されて辞任する。柳瀬元首相秘書官も証人喚問はしない。こう考えると、安倍首相が任命した事務方は、国民に対する説明ができず逃げ回る人たちばかりに思えます。でもこれはおかしな話で、官僚は国民の公僕です。今の状態は内閣の下僕に見えてしまいます。

 また、一連の騒動で見えてきたのは、検察の対応が恣意的で、法の下での平等という、民主国家で最も大切な原則を侵しているように見えることです。これはファシズムの第一歩です。市民のみなさん、今こそナチス関連の歴史書を一読することをお勧めします。

 あ、それと私が執筆している「ポーラースター」シリーズも。

 おっと忘れてはいけない、『玉村警部補の巡礼』も、でした(笑)。


 セーターを引っ張り出したり、Tシャツになったりと気候変動が激しく大気不安定な2018年春。乱気流に巻き込まれたかのような激動の中、海堂ニュースでこのような文章を世に解き放つことになったのも、きっと弘法大師のお導きなのでしょう。南無大師遍昭金剛。

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