【3.医師、歯科医師等の育成及び資質の向上】という項目では検案の研修、死亡時画像診断の研修会を、日本医師会に委託し、放射線学会、病理学会、法医学会、Ai学会と連携を計りながら実施していくこと、小児死亡例を医師会が中心となり警察とも連携を諮りながら、結果を検証し、日本医師会が検案マニュアルを作製していくこと、などが記載されています。総じてAiの占める比重が大きな推進案になっているという点は、瞠目すべき進歩でしょう。特に死亡時画像診断については厚生労働省と日本医師会が、関係専門学会と連携を取りつつ検討していくとし、警察が必要とする場合はAiを実施してもらえる病院と協力関係を強化・構築していくと明記しています。警察のAi情報を検案する医師に提供できるような体制作りも検討していくとも明記しています。
抽象的な努力目標のようにも見えますが、少なくともそうした目標を明確に明記した点はこれまでの報告書と違って画期的です。何より、日本の死因究明制度全体への目配りがされているという印象が強いのは心強いものです。どうやらこれでひと安心です。
ここから先、また幾度も裏切られるのかもしれません。でも日本のシステムとして、とりあえず目指す方向は明確になり、かつその方向は合理的に思えるものになりました。
関係者の努力に敬意を表します。
しかし抱き合わせで、医療事故調査制度法案(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律の改正案)が衆議院を通過、6月18日参議院でも可決されたそうです。法案は「医療において予期しない死亡・死産は速やかに医療事故調査・支援センターに報告するとともに院内で調査を開始しなければならない」というものだそうで、詳細は「診療行為に関連した死亡の調査の手法に関する研究班」に委ねられ現在審議中。ほとんど潰れる寸前だったモデル事業の末裔がゾンビのように復活です。バカバカしい。もうどうでもいいですよ。これは医学界、学会上層部もサポートした動きであって、こんなものが成立したら医療は逼塞すると注意喚起し続けてもこの始末。これでは医療の安全を守る戦いは敗北宣言を出さざるをえないでしょう。その前に、医療側からAiセンターを構築していけば、何とかこんな動きも防げたのに、と思うと無念ですが、自分としてはやるだけのことはやったので、悔いはありません。それにしても安倍政権は議論なしでやりたい放題、とても危険な内閣です。