海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2014.04.24 2014:04:24:15:44:56

批判はタブーでスルーの本屋大賞。あるいは久し振りに死因究明制度についてのスクープ。

 なので本屋大賞特集号を読んでみました。そこで初めてシステムを知ったのですが、一次投票では三作上げ、1位3点、2位2点、3位1点と点数をつけるらしい。

 

 あれ? 

 

「本屋さんが『一番』売りたい本」を決めるのに、三冊も推薦するんですか?

 

 これでは看板倒れ、キャッチコピーに偽りあり、です。つくづくこのキャッチコピーはまやかしだと思います。自分たちの企画内でさえ、言葉が破綻しているわけですから。

 

 こういうのを古い諺で、「羊頭狗肉」と申します。本屋大賞のやり方からしても、キャッチコピーは変えないと、言葉を商う商売人としては失格でしょう。

 

 

 そうなると一次投票で1位がひとりいれば3点入ります。本屋大賞の主旨で言えば3点までが「本屋さんが一番売りたい本」の候補作でしょう。

 

 でも3点以上獲得した書籍の中に、残念ながら私の本はありませんでした。つまり海堂作品を「一番売りたい」と思ってくれた書店員は、投票した600人近い書店員の中にはひとりもいなかったわけです。

 

 私の本も「売りたい」と思ってほしいという、私のささやかな願いは、こうして本屋大賞に関わった書店員さんたちによって、かくも無残に踏みにじられてしまいました。

 

 ほんと、無神経な人たちです。

 

 しかもこんなことを書くと、「ノミネートされなかったやっかみ」などと陰口を言われてしまう。やれやれ。(Byサイゾー2014年5月号『書店組織票で決定! 作家も苦言を呈する『本屋大賞』の出来レース』より)

 

 そうじゃないことは、一連の文章を読んでもらえばおわかりでしょう。

 

 

 本屋大賞のキャッチコピーは、こうした欺瞞も明らかにしてしまう。ほんとデリカシーに欠けています。

 

 ちょっとむかつきましたが、サイゾーの記事は興味深い。版元の営業が本屋大賞のため書店員さんに接待しているとか、票を獲得するため作家と一緒に地方行脚しているとか、書店員から営業さんにパワハラまがいの強要があるとか......。

 

 本当かしら。

 

 いやはや、本屋大賞の内実は、かなりダーティなようです。

 

 もっともサイゾーの記事の受け売りなので、私が裏付けを取ったわけではありません。

 

 

 繰り返しますが私は、私の本を「売りたい」と書店員さんに思ってほしい。でも「私の本だけ一番売ってほしい」わけではありません。だから「書店員が一番売りたい本」というキャッチコピーは不愉快だと申し上げたのです。

 

 そのコピーには書店員として大切なもの、「作家への思いやり」が欠けています。

 

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