海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2014.02.24 2014:02:24:19:21:20

読まずに当てよう、本屋大賞。

 さて、今年の本屋大賞ですが、実は十作すべて未読でした。せっかくですので読まずに予想してみようと思います。判断ソースとしてはメディアでの露出の仕方と書店員のツイッター、書評家のツイッターです。全作品未読ですので、当然、文学的な価値判断ではありません。では始まり始まり。

 

 

2014年 本屋大賞候補作

『教場』長岡弘樹(著) 小学館

『去年の冬、きみと別れ』中村文則(著)幻冬舎

『さようなら、オレンジ』岩城けい(著)筑摩書房

『島はぼくらと』辻村深月(著)講談社

『聖なる怠け者の冒険』森見登美彦(著)朝日新聞出版

『想像ラジオ』いとうせいこう(著)河出書房新社

『とっぴんぱらりの風太郎』万城目学(著)文藝春秋

『村上海賊の娘』和田竜(著)新潮社

『昨夜のカレー、明日のパン』木皿泉(著)河出書房新社

『ランチのアッコちゃん』柚木麻子(著)双葉社

 

 

 まずマイナス方面から。最初に脱落するのは辻村さんです。講談社は昨年の本屋大賞でジャックポットを引き当てましたのでバランス感覚として二年連続は取らせないと思います。芥川賞候補、直木賞候補の落選作品ですので岩城けいさん、万城目学さん、いとうせいこうさんも脱落組になりそうです。本屋大賞はそもそも直木賞に対する批判勢力として創設されたので、落選作を受賞作よりも売る、ということで権威に対抗しようとするかもしれませんが、昨年の受賞者が、本屋大賞は直木賞より素晴らしいと発言し、それに対し直木賞受賞者から有効な反論がなかったことから、本屋大賞の虚栄心は満足されました。ですので落選作は歯牙にかけないと思います。

 

 ここからは書店員の書店ツイッター情報の量の多さから加点式で判断します。一番参考になるのは、書店では有楽町三省堂さんとさわやフェザンさんの公式ツイッターです。それも本屋大賞が始まる前、春から夏にかけてのツイートが特に参考になります。

 

 加点法の方はいちいち書くのは面倒臭いので、結論から言います。

 

 本命『教場』、対抗『村上海賊の娘』、穴『聖なる怠け者の冒険』。それにこれまで候補作だけは多かった文藝春秋がいまだに無冠という点と、本屋大賞・神7である万城目さんというダブルメリットを勘案して『とっぴんぱらりの風太郎』を大穴にしました。このギャンブルの採点は、予想した四作中三作が上位三冊を占めたら、海堂の社会情報分析力の勝ち、ということでお願いします。

 

 さあ、どうだ。

 

 くれぐれも申し上げますが、上記の予想は作品の文学的評価とまったく無関係です。何しろすべて未読なんですから。これでもし私の予想が当たったら、本屋大賞は文学作品の素晴らしさというよりもむしろ「書店員の人気投票」という側面の方が大きい文学賞だと言っていいと思います。

 

 もし外れたら? その時は、この世界はカオスである、と言って逃げましょう(笑)。

 

 

 書店の店頭で、もし海堂作品が冷遇されているなと感じたら、公然と本屋大賞を批判したせいだ、バカなヤツ、と笑ってください。そして本屋大賞系書店員が天下を取ったんだなあと思ってください。でもそんな事態になったら、そこには本を一冊でも多く読者の手元に多様な本を届けたいと願っていた、かつて私が大好きだった本屋さんは、もはやいないというしかないので、後悔はありません。

 

 こんな文章を書いたせいで、そんな風にならないことを祈っていますが。

 

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