海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2013.09.19 2013:09:19:10:27:50

厚生労働省がAiに予算をつけるかどうか注目せよ。或いはゲラ地獄の秋

 ところで続編とか、スピンアウト展開がラクだと思っている人たちもいるようです。けれどもこれは間違いで、人物の性格を統一したり、過去の事象と矛盾なく物語を仕上げるという点があるので、実は続編やスピンアウトは新作を書くよりもはるかに難しいのです。

 

 続編仕立てにするのは、過去に作り上げた人物を大切にするということで、それはこれまでの作品を大切にするということでもあります。今度の短編集の『ガンコロリン』では五篇中四篇が「スピンアウト」と言えますが、過去の物語を読んでいなくても短編として成立しています。その意味ではスピンアウトの性質はきわめて薄い作品集です。もちろん、過去の作品を読んで下さっていれば、別の楽しみ方ができるようにもなっていますので、いろいろな楽しみ方をしていただけるとさいわいです。

 

 

近況です。

 

1)来年1月〜3月に関西テレビで「チームバチスタ4・螺鈿迷宮」が放映されます。7月のある日、撮影見学に行ってきました。伊藤淳史さん、仲村トオルさんのコンビは相変わらずの安定感で、そこに、桜宮巌雄役で柳葉敏郎さんが参戦し、引き締まった撮影現場でした。そして桜宮一族の美人双子姉妹役の女優さんにもご挨拶したのですが......。まだ公表されていないのでここに書けないのがもどかしい限りです。ドラマは大変面白いものになりそうです。お楽しみに。

 

2)小説現代十月号の医療小説特集「救える命」に「全自動診断装置・トロイカ君」という短編を寄稿しました。特集依頼があったことを思い出し五月のある日、一日で初稿を書き上げたものです。読んで楽しい作品になっていると思いますので、お楽しみに。

 

3)週刊新潮『スカラムーシュ・ムーン』、好評連載中。実はこの原稿は、半年先まで校正済みだったりして。連載するのに締め切りギリギリになると、作品の質は落ちるのではないかと心配なので前倒しにするわけです。でも世の中では、締め切りぎりぎりや締め切りに間に合わないでじたばたしている作家の方が高く評価されているようなので、何だかなあ、という気持ちです。そんな風に、締め切りの点では私はとびきりの優等生なのですが、これが単行本や文庫化のゲラになると......。なぜなんでしょう。

 

4)上記にもあるように、医療小説短編集『ガンコロリン』、十月中旬に発売予定です。血とアカの賜物ですので、こころして楽しんでください。 

 

5)『極北クレイマー』合本で新版刊行、同時に『極北ラプソディ』も文庫発売です。ラプソディの解説はNHKプロデューサーで、『極北ラプソディ』と『マドンナ・ヴェルデ』をドラマ化してくださった佐野元彦さんです。お忙しい中、書いていただいた解説は、映像世界からの視点が興味深く、深く読み込んでくださっている解説になっています。ご一緒にどうぞ。サイン本もかなり作らせていただく予定ですので、捜してみてください。

 

6)将棋関連で二本。八月に電王戦関連本『ドキュメント電王戦』が刊行され三浦弘之八段と対談をしています。興味深いお話でした。

 

 また来月(たぶん)羽生善治三冠と対談させていただいたインタビュー集が出ます。昨年、将棋世界で対談させていただいたものです。タイトルは『共鳴する頭脳』です。お楽しみに。

 

7)9月21日、新潟で新潟大学市民講座第28回有壬セミナーで講演をします。『医療を守る、社会を守る』というタイトルです。これは市民向けなのでマイルドに。

 

8)10月は講演会シリーズで毎週末は地方巡業へ。5日は東北大学医学祭での講演会『医療と文学と市民社会』、11日は有楽町朝日ホールで保険医学会特別講演『Aiは死因究明制度の土台になる』、12日は九州大学医学部保健学科十周年記念招待講演で『Aiは市民社会の礎になる』、18日は第78回泌尿器科東部総会(新潟)で『小説世界と現実社会におけるAi』の三本は、医学会関係なので久々に、ばりばりのAi話にする予定。医療従事者の危機感と関心の薄さに危惧を抱いています。

 

 そして26日は岐阜医療短大での講演です。最後は市民向けなのでマイルドになるかと。それにしても講演会はかなりお断りしているのに、どうしてこんな風になってしまうんだろう。

 

 

                 2013年9月18日   海堂尊

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