同じことは厚生労働省にも言えます。今、死因究明関連二法案における死因究明制度の構築に対し、内閣府主導で月一回のペースで検討会が開催され、その場で日本医師会から、「小児全例の死亡例に対するAi実施」という案が提出されています。これは厚生労働省が実施したAi検討会でも二年前に提言されていますが、驚いたことに厚生労働省はこの二年間まったく対応しておらず、上手くいかなかった日本医療安全調査機構への援助に終始しています。とある役人は「これだけはっきりした勧告が出ているのに厚生労働省がまったく動かないのは、不作為にしてもひどすぎる」と言っていました。
小児死亡例全例にAiを実施するというのは、虐待死の見逃しをしないためにも必須のことです。このことは厚生労働省の検討会で二年前に提言され、今年も内閣府が主導する死因究明関連二法案に関連した検討会で提案され、厚生労働省以外の省庁の人たちは当然やるべきことだ、と考えています。ここで厚生労働省が対応しなければ、厚生労働省は小児虐待防止に関し、すばらしい効果を発揮できる手法を遅滞させている元凶になってしまうでしょう。そんな中、小児Aiに費用をつけようという動きはあるらしいのですが、ここで要注意なのは、これをモデル事業の一部に組み込んで、結局ほとんど役に立たないモデル事業後継制度に予算をつけようという、浅ましいやり方をする可能性が考えられるということです。
二年前に厚生労働省の検討会でAiを国費で導入せよという勧告が出た時、厚生労働省は「死因究明制度の充実を図る」という項目の予算に入れ、拠出したのはAi研修会の費用、数百万円の援助にすぎませんでした。つまりAiを実施する実費に関しては、厚生労働省はこれまでほとんど対応していないのです。だから今回も同じような手法を採るかもしれません。
もちろん一市民である私に、そうした霞が関の手法を覆せる力はありません。でもこうして監視し、結果を検証することで、厚生労働省の不作為を詳らかにすることはできます。それを見て、ひとりひとりの市民が、厚生労働省の不作為を糾弾するようにしていくしか、もはや改善は不可能に思えます。来年度の予算に、注目しましょう。