海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2013.07.17 2013:07:17:16:42:38

たまにはのんびりと。(でもないか)

 ご無沙汰しました。ここのところどうしても執筆意欲がわかなかったもので、少しのんびりしていました。デビュー八年、全速力で走り続けてきた気がします。読者の支持はありがたいですが、私を取り巻く環境に関し思うところも多く、果たして私の言葉は届いているのか、私の作品は正当に評価されているのかなどと思ったりします。最近は言葉の無力さ、行動の裏付けのない賛同のむなしさにへたっています。すべてがバカバカしく、誠実に言葉を連ねていこうと努力することに虚無感を覚えたりします。

 

 そんなわけで旅をしていました。ベネチア、スイス、そしてローマ帝国に二カ月どっぷり浸ってきました。まず五月の連休最終日から十日間、ベネチア、スイスに取材旅行へ行ってきました。週刊新潮で連載中の『スカラムーシュ・ムーン』執筆のための取材です。

 

 WHOや国際赤十字など、名だたる国際機関を取材し、たいへんためになりました。「在ジュネーヴ日本政府代表部WHO担当書記官」という仰々しい肩書きの、気さくな方に案内していただきましたが、WHOは誰もがその名を耳にしたことがあるはずなのに、その実体はほとんど知られていないというのが実情だということがわかりました。

 

 国際赤十字でも興味深い話を聞けました。こうした取材は今後の作品の中で確実に生きてきます。いや、生きてくるはず。でないと、後で私の首が絞まることになるので......。

 

 取材旅行の最中に二カ月分の連載原稿を書き上げ、帰国寸前に先渡しをして、遊んでばかりではなかったんだぞ、という姑息なアピールもしていたりして。

 

 

 ジュネーヴの後はチューリッヒに行き、かつての盟友にして宿敵のターリ教授と学会で再会しました。学会場に着いたのは発表の合間の休憩時間で、みんなが懇談しているというぴったりのタイミングでした。取材旅行ついでの表敬訪問だったのですが、ターリが「もちろんオートプシー・イメージング(Ai)のことは覚えているさ」と言ったものだからこっちもスイッチが入り、「日本では法律で導入が決定され、少なくとも年間十万件のAiが実施される、世界で最大の死亡時画像診断大国になる。だからこの学会を日本でやったらどうだ?」というと、「来年はイギリス、翌年はフランスにほぼ内定しているんだ」「それなら再来年、日本でどうだ?」「わかった。考えておく」という返答を頂戴しました。そうした会談を、週刊新潮の担当Fさんがぱしゃぱしゃと写真を撮りまくってフォローしてくれました。

 

 ベネチアには何しに行ったのか、は企業秘密です。もちろん連載に役立つことであることには間違いないのですが。たぶん。

 

 このあたりの詳しいことは新潮社の雑誌「波」で今月から集中連載の予定です。

 

 

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