海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

『海堂ニュース』最新ネタ満載!

2012.08.08 2012:08:08:12:40:57

たまには、文学的総括を

 近況です。
 

1)将棋関連三連打。まず将棋世界の新シリーズムック『谷川浩司――光速と呼ばれた男』で谷川浩司永世名人と巻頭対談しております。かつてバイト先で院長と毎週のように将棋を指していた頃、谷川名人とお目にかかれたらいいなあと思っていたことを思い出し、思わず感慨にふけりました。
 

2)羽生善治二冠と対談をさせていただきました。グラビア撮影の時、何と将棋会館特別対局室で、羽生先生と対局となりました。ううむ、私も一年でここまで上り詰めたか。相矢倉の中盤で差し掛けとなりましたが、あのまま勝てば、私が竜王挑戦者だったかも。
 

 秋に将棋世界に掲載予定。中身はまだ秘密。けれども「東京音頭をBGMにした名局」など話題は多岐にわたり、楽しかったです。
 

3)森内俊之名人の名人就位式に行き、お祝いを申し上げました。堂々たる名人ぶり、風格ある挨拶に感動して帰ってきました。出席者も大勢いらして、さすが将棋四百年という節目の年に名人位を獲得した大名人だけのことはあります。ご挨拶させていただいたら、相変わらず私の本を読んでくださっているというお返事をいただき感激もひとしおです。しかし将棋界というのは多士済々でうらやましいですね。
 

4)「週刊朝日」に、名人戦について寄稿しました。
 

5)「『このミステリーがすごい!』大賞作家書下ろしBOOK」という書籍で「チェ・ゲバラ、その生と死』という短文紀行文を掲載します。
 

6)雑誌「宝島」で、宝島社のシリーズが終了した記念のインタビュー記事が掲載されました。さすがメイン作品を育てて下さった社の雑誌だけあり、こんな細部まで、という目配りがありがたかったです。
 

7)上にも書きましたが、「王様のブランチ」、ブックランキングで一位を取りました。
 

8)雑誌「サイゾー」で『医学のヤバイ本』という企画の取材を受けました。いくつか挙げさせていただいたのですが、一番ヤバイ本である拙著『ほんとうの診断学』については触れない模様のようです。どうしてヤバいのかって? だって、公募科学研究の中身が科学に値しない研究だったなんて真実をあからさまにしたら、体制側から目をつけられてしまうじゃないですか。
 

『ほんとうの診断学』には深山研究班の批判が一章分、まるまる掲載されています。この本で展開しているのは「深山班の研究は、科学の基礎を踏み外している科学研究とは呼べないお粗末な研究である」という論旨であり、これは深山班の研究報告書の記述を元にして導き出しています。たかがブログの表現をとがめて名誉毀損で訴えるくらい目配りされる深山先生ですから、深山氏の学者生命を危うくさせるような、こうした批判に対しては何らかの反論をすべきでしょうし、その手段としては、科学批判なのですから当然司法の場などではなく、公開の場での学術的討論しかありえないと思われるのです。
 

 深山氏は病理学会の理事長でもありますので、そうした場の設定は可能なはずです。その理事長がという税金を使った公募科学研究で、いい加減な結果を出したという批判なのですから、アカデミズムの世界では由々しきことです。是非、中立的な場で、徹底的な討論を設定していただけたらなあ、と思います。それをしなければ、深山氏は、本書の批判を妥当なものだと受け入れたとみなされるでしょう。なぜかって? ブログの些末な表現にさえ民事裁判という手段に訴えてくるくらい、ご自身のことに関しては厳格な方なんですから。
 

 沈黙は、こちらの主張の容認だと考えて差し支えないでしょう。であれば、深山班研究は、科学研究の体を成していない、ということは事実のわけです。
 

9)7月31日、高知市夏期大学で講演してきました。開講は1951年という歴史ある会で、いつものようにAiについて吠えまくってきました。行政解剖が五都市で一万件を超えているのに、四国の四つの県を合わせても年間20体しか行われていないという話には、結構衝撃だったようでした。警察庁が発表したデータの数字ですが、大新聞はどこも書いていません。取材力、情報分析力の低下ですね。この講演の様子は8月3日付けの高知新聞に掲載されたそうです。
 

 講演会の後は、サイン会で大勢の方とお話ができました。
 

10)弥生小学校の講演は、全校生徒と父兄を前に。聴衆の幅が広すぎて、大変でした。でも五年生と六年生の感想をもらって嬉しかったです。
 

11)「週刊現代」の連載は『スリジエセンター1991』が終了し講談社より10月刊行予定。今年はそれで打ち止めです。「野性時代」でも『輝天炎上』の連載が再開されます。出版は来年予定です。
 

12)それにしても今年もなかなか頑張ったようです。単行本は『玉村警部補の災難』『医療防衛』『日本の医療・この人を見よ』『ほんとうの診断学』『ケルベロスの肖像』『スリジエセンター1991』と6冊刊行、文庫本は『アリアドネの弾丸』『ブレイズメス1990』と数は少なかったのですが、どちらも大部数でした。他にもアンソロジー参加が三冊。働き過ぎですね。
 

13)8月7日(※註、放送は14日)、BS11『宮崎美子のすずらん本屋堂』に出演予定。私の学生時代にぴかぴかに光っていた方なので、緊張しています。
 

14)毎日新聞さんの取材を受けました。詳細は後日。デビュー直後に取材を受けた媒体なので、感無量です。
 

15)9月2日、木更津市図書館で講演予定。タイトルは『医療と文学にできること』
 

16)9月上旬、島田荘司先生の仕切りで、『本格ミステリーワールド』の対談に参加させていただくことになりました。『医療ミステリーと本格』テーマらしい。拙著『アリアドネの弾丸』は、ぎんぎんの本格ミステリーだという評価をいただいたので、大変嬉しかったのですが、果たして、今回の重責を果たせるかどうか。
 

17)休もう、休もうと思っているのに、またひとつ、ビッグプロジェクトが。次回に告知できるのではないかと思います。しかし、どうしてこうなってしまうのだろう。。。
 

                           2012年8月6日   海堂尊

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