海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2011.12.14 2011:12:14:16:22:37

君、国を売りたもうことなかれ

 こうした姿勢は、市民社会に対する裏切り行為に思えてしまうのですが、読者のみなさんはどうお考えでしょうか。これもまた、君、国を売りたもうことなかれ、と言わざるをえないことなのです。

 

 

 そういえば、キューバの法医学会会長、ホルヘ教授とも面談しました。話の中心はチェ・ゲバラに関することでしたが、Aiに関しても話題になりました。私の論文を読んでいてくださったのです。大変興味があり、素晴らしい方法だと思うが、キューバではCTが少なく、そのために実施は難しい、だがもしも可能であれば実施したいし、その時には放射線科医に診断をお願いすることは当然だ、と言っていました。なぜならホルヘ教授は、チェ・ゲバラの遺体探索のプロジェクト・リーダーでもあり、その時に法医学者として参加しながら、遺体同定でもっとも有効だったのは法医学的なDNA鑑定ではなく歴史学的な考証だった、と明言してはばからない、フェアな方だからです。

 

 日本の法医学者が、Aiのすばらしさに関して決して公言しようとしない姿勢とは雲泥の差です。アカデミズムのトップたるもの、このように他領域に対するリスペクトを忘れないのが当然で、こうした判断力の明晰さや度量の大きさでは、残念ながら日本はキューバに完敗しています。

 

 日本の官僚や学会上層部の人たちは、少しだけでも、チェ・ゲバラの生き様や精神を少しは見習ってほしいものですね。

 

 そう、キューバの法医学者は、海堂尊にとても友好的だったのでした。

 

 

 最後に、警察庁主導で死因究明制度を構築しようと画策している、警察庁の官僚のみなさん、そして民主党の死因究明プロジェクトチームを構築している議員連のみなさんに忠告しておきます。

 

 もしもAiについて扱う法案を策定するつもりであるなら、その時はきちんと、放射線学会、Ai学会、日本医師会といった、日本の医療で画像診断に責任を持っている団体に事前にコンサルトし、その意見を反映させなくては、Aiを扱う資格がありません。

 

 そうしないで、こうした制度導入をしようとしたら、その時はその分、市民社会の支持を失ってしまうでしょう。少なくとも私のブログの読者たちは、警察官僚や法医学者、そして族議員たちが何をしようとしているのか、よーく理解して、凝視し続けているのですから。

 

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