海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

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2011.06.11 2011:06:11:14:01:58

厚生労働省、ついにAi実施へ。

 まあ、判決内容についてはここらにしておいて、本題に戻りましょう。日経BP社の裁判判決と、厚生労働省の検討会の日時が重なった。これだけならまあ、偶然の一致、と言われても反論できないかもしれません。

 

 でも、次の事実を知ったら果たしてこれが本当に偶然か、疑わしく思う人が出てくるでしょう。

 

 実は日経BP社の民事裁判に対する判決言い渡しは、当初3月14日でした。それが3月11日になって突然言い渡し延期が通告されたのです。

 

 これも大震災の影響でしょうか。でもそれはおかしいと思います。言い渡し三日前ですから延期理由がない。この裁判は二年以上継続し、途中和解勧告を挟んだりしていますので、直前の判決言い渡し延期は異例です。後は言い渡すだけなんですから。直前になって言い渡しを二ヶ月も延期するなど、おかしな話です。

 

 注目すべきはふたつの日付です。当初の判決申し渡し日が3月14日、厚生労働省の検討会の最終回の日程も当初は3月14日。

 

 どちらも震災で延期されましたが、検討会の方はまあ妥当でしょう。でも判決言い渡しは、なぜ延期したのか理由は述べられていません。気持ち悪いですね。

 

 そして震災後の判決言い渡しが5月30日。検討会の日程も5月30日。

 

 偶然も二回続けば偶然ではなくなる。そもそも3月の回も1月や2月に設定できたのに、ここまで引き延ばされている。こうなると3月14日予定の判決言い渡しが、3月11日に突然延期されたのも、疑惑の色が濃くなってきませんか? 地震直後だと報道されないと考えたのかもしれません。そもそも日経BP社は弁論再開を求めていましたが、裁判所は応じませんでした。なのに直前の判決言い渡し延期は論理破綻しています。しかも二回ともなぜか厚生労働省の検討会の日時と一致するという「偶然」が起こっている。いやはや、プチ・ミステリーですね。

 

 こうなると『ナニワ・モンスター』や『アリアドネの弾丸』に書いた、官僚によるメディアを使った情報誘導の一例だと、ミステリー作家の私は考えてしまうわけです。

 

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