海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

『海堂ニュース』最新ネタ満載!

2010.08.02 2010:08:02:17:53:10

ついに厚生労働省の「死因究明に資するAiの活用に関する検討会」で講演を。

 さて、近況を。
1)北海道に取材旅行に行ってきました。礼文島と夕張に行きました。実は、夕張希望の折、村上智彦先生と夕張市の間でちょっとしたごたごたがあったのですが、双方のお話を伺うと、意思の疎通が悪く、ちょっとしたボタンの掛け違いが大きくなった、ということらしい。村上先生が、医療行政に不満足なのは至極当然ですが、夕張市は、破綻した特殊な状況の中でできるだけのことをしようとしている。そのあたりの意識の違いが大きかったようです。同時に、夕張市の方も、医療現場の状況をやや理解していないきらいもある。実は本当の敵は、膨大な借金の責任を夕張だけに押しつけた霞が関にある。人間だって自己破産したら借金はチャラになる。それを冷酷非情に取り立て続けようとするから、こうした問題も出て来る。だから村上先生と夕張市が争うというのは、まったく意味のない闘争なのになあ、というようなことを感じつつ、新連載に向けて準備中。
 でも明るい話もありました。礼文島の素晴らしい診療所を見て、日本の医療の可能性を感じさせていただきました。升田先生、奥さま、お心づくしありがとうございました。

2)『ブレイズメス1990』絶賛発売です(つくづく紋切り型表現ですね・笑)。サイン会を開いていただきました。27日、三省堂神保町本店さん、31日、大阪・旭屋書店天王寺Mⅰo店さんです。

3)「文藝春秋」8月号に『ニッポンの死角・再び問う 日本を「死因不明大国」にするな』を寄稿しました。解剖制度、メッタ斬り、です。監査なき司法解剖は、実は紛争促進システムでもあったのでした。
今年1月、民事裁判の判決前に、「週刊文春」に偏向記事を書かれたのですが、当時の記事と今回の記事を合わせて読んでいただければ、「週刊文春」の記事が基本用件を満たしていなかったか、理解していただけます。深山氏との民事裁判を記事にしながら、原告の深山氏はノーコメントで、代わりに裁判とは無関係の法医学者とジャーナリストに私の言動を誹謗をさせる。記事の基本が成立しておらず、公平中立なジャーナリズムと言えません。深山氏は被告ではなく原告です。被告ならまだしも、原告のコメントすら取れずに記事を書いてはダメダメでしょう。それにしても私にアンチの法医学者ばかり、それもたった3人が騒いだだけなのに「医学界騒然」という新聞見出しを打った「週刊文春」さんの時代錯誤的なセンスも、今となっては懐かしい笑い話ですね。
 その文春さんからは、8月に『ひかりの剣』文庫が発売されます。例によって、相当手を加えました。表紙もかっこいい仕上がりですので、どうかお楽しみに。

4)「週刊新潮」「ナニワ・モンスター」(新潮社)連載好調ですが、おかげで検察には評判が悪いらしい、という風の噂が。くわばらくわばら。

5)『ジーン・ワルツ』(新潮社)文庫はおかげさまで売れ行き好調です。

6)『ひかりの剣』文庫が8月に刊行されます。しばしお待ちを。

7)田口・白鳥シリーズ最新刊『アリアドネの弾丸』(宝島社)ほぼ終了です。信じられないくらい順調。

8)「野性時代」82号(角川書店)に日比野涼子シリーズ短編、一挙2話掲載。「ヒポカンパスの断崖」と「グレイ・ゴー・アウエイ」です。その後も連載し、年末に刊行予定です。

9)雑誌「本の旅人」(角川書店)にて「はるかなる南アフリカ」というお気楽極楽旅行記を、3月連続掲載します。第1話は「危険なヨハネスブルグとクルーガー国立公園」(だったかな?)です。

10)相変わらず講演会多数。群馬県保険医協会は、群馬大Aiセンターお膝元ながら、まだ地域社会への浸透は低い様子。それから岐阜で日本病院学会での特別講演。こんな調子だから今や市民の方が、厚生労働省の担当課よりもAiの本質を理解している、という事態になっているわけですが。


                           2010.7.27 海堂尊

 

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