海堂尊 - 第四回『このミステリーがすごい!』大賞(『このミス』大賞)大賞受賞作『チーム・バチスタの栄光』の著者

『海堂ニュース』最新ネタ満載!

2010.04.16 2010:04:16:15:08:03

ナニワの春は燃えている、法医学会のAiは割れている。

 たまにはほのぼのとした始め方で(笑)。
『マドンナ・ヴェルデ』刊行に際し、サイン会を開きました。東京・丸善丸の内店さんと大阪・紀伊國屋書店梅田本店さん。どちらも大勢の方がお見えになり、励みになりました。この場をお借りし、御礼申し上げます。特にナニワ、あ、もとい、大阪のサイン会は、いつにも増して若い女性が多いなあ、と思っていたら、途中から冷や汗が。ひょっとして、妊婦さんが多い?
 途中から推測が確信に変わり、サインしながら、「あ、いや、物語ではお産は大変なことになっていますけど、だいたいふつう無事に産まれるものですからご心配なきように」などと、物語と正反対のことを言ってあたふたすると「『ジーン・ワルツ』も面白かったです」と、すでにそんなこと消化してますよ、てな感じであっさり言われてほっとしたり。他に目立ったのは、若い医療従事者の方たちと学生さん。『トリセツ・カラダ』を読み、一年間聞いた医学概論の意味が一時間でわかりましたという感想を聞いたときは、嬉しかったですね。『トリセツ・カラダ』は健康社会を目指すため、一家に一冊必携本です。九州からわざわざ駆けつけてくれた方がいたり。あと、私のファンサイトを作って下さっている方にも初めてお目に掛かりました。大変ありがたいことで、御礼を言えて嬉しかったです。
『マドンナ』は『ワルツ』と補完関係にある物語で『ナイチンゲール』と『ジェネラル』のような関係です。合わせて読んでみてください。上下ではなく、得意の左右分冊です。
 それにしても紀伊國屋書店梅田本店前のコンコースの丸柱に、関西テレビで火曜22時から放映中の『チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋』の巨大宣伝を見た時にはキモを潰しました。ナニワの春は真っ赤に燃えている(笑)。視聴率も関西の方がかなり高いようです。すごか。そういえば梅田本店の担当者が、その柱に「サイン本あります」と矢印つきの張り紙をしようかな、などと大変図々しい、もとい、独創性豊かな発想に基づいた発言を呟いておりました。これが本当のメディアミックス、是非、実行を(笑)。
 ナニワ取材を兼ねていたので、大阪に長逗留し、ABCラジオで道上洋三さんの「おはようパーソナリティ道上洋三です」に出演しました。番組中も大変楽しく過ごしましたが、番組後の朝食会で本質を見抜かれてしまったようで。
「海堂さん、その話、たった今思いついたでしょ。だってそれ詭弁だもん」
 あう。指摘されるまで詭弁だと思わなかったのでびっくり。よく考えたら物語世界は詭弁で出来てるわけですから。そう、作家はすべて詭弁家なので、あえてそんな考えが思い至らず、とっても新鮮な指摘でした。すてき(笑)。
 ちなみにその詭弁は、道上さんが「私たちの番組はマンネリだと言われるんですよ」とおっしゃったのを慰めるため、私が「マンネリとは偉大なる新鮮さの別表現だ」と言ったところを返す刀でばっさりと。敵味方の容赦なく知性の刃で切りまくる。いやはや、ダテに三十三年も番組を継続してるわけではありません。おそれいりました。
 ABCラジオさんの訪問では少々ショックなことが。道場さんの次の時間帯の番組「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」の番組スタッフの方とお話させていただいたのですが、その番組で"メタボックリくん"というキャラを作っていたそうです。それが『極北クレイマー』で使ってもらったのではないか、と番組では盛り上がったそうです。
 う、実はあれは、私のオリジナルだとひそかに自信作だったのですけど。どちらが早かったかという論争になりましたが(笑)、スタッフのみなさんがワッペンやTシャツを持ち出してきたのをみて、早々に白旗を上げました。ま、お土産にTシャツもいただいたので、仕方がないのでオリジナルはABCラジオさん、ということでガマン。でも、本当に知らなかったんだもん。だからあれは私のオリジナルでもあるんですが(未練げ)。
 今度、文庫化の際にはコラボさせてもらいたいものです。抽選でワッペンがあたる、とか(笑)。

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